春が来た

d0174818_13520238.jpg
今年の桜@新浜公園。

みなさまこんにちは。齋藤です。
さて本日は、先月4月6日に福島民友紙の「みんゆう随想」に掲載されたエッセイ
「春が来た」
を転載いたします。

あっという間にもう季節は初夏ですが……^^;

では、どうぞ。

**************

春の女神そのふくらかなる唇に呼ばれてたれもたれも空を見る 『湖水の南』


――春ですよお。


 そう、どこからか誰かの声が聴こえたような気がした。少し急いでいた歩みを止めて振り返ったけれど、誰もいない。

 よく晴れた空が明るい。頬に触れる風が、大分やわらかい。阿武隈川の河川敷に植えられた大きな柳の木々も一斉に芽をふいて、しなやかに揺れる無数の枝が淡い緑色に染まっている。ここに歩いて来る途中すれ違った人々はみな、もう真冬用の厚ぼったいコートやダウンジャケットを着ていなかった。家々の庭先に植えられた梅の木はどれもとっくに満開で、咲き始めたばかりの沈丁花もいいにおいだった。毎年開花を楽しみにしている古くて大きな桜の木も、たくさんついたつぼみがずいぶん膨らんでいる。陽当たりのよいところならば、来週中には咲き始めるだろうか。

 そういえば子どもの頃、「入園式」や「入学式」といった言葉に添えられるイラストに決まって満開の桜の花が描かれているのが不思議だった。私が生まれ育った福島市では大体ソメイヨシノが満開になるのが四月も半ばになってからで、いつも「入園式」や「入学式」の頃にはまだ咲いていないからだ。

 その理由がようやくわかったのは、東京の大学に進学した時。四月の上旬、ちょうど大学の入学式の日に合わせたかのように、見事に桜が満開だったからだ。今思うとおかしいのだけれど、桜の開花時期が地域によって違うということを、私はあの時初めて実感として理解できた。そんな私の大学生活のはじめ、一番に仲良くなった友人は盛岡出身だったが、彼女にこの話をしてみたら「私も同じこと考えてた!」と言って笑った。その後四年間、彼女とはずっと仲がよかった。


――春ですよお。


 また、誰かの声が聴こえたような気がした。辺りを見回してみたけれど、やはり誰もいない。空は相変わらずよく晴れていて、眩しい。頬に触れる風に、心なしか濡れた土のにおいがする。春のにおいだ。

 そうだ。もう春なんだ。

 私ももう真冬用のコートは着ていない。深く息を吸い込んで、大きく吐き出して、また歩き出す。歩きながら、また空を見る。明日の空もきっと、よく晴れて美しいに違いない。



# by chicayoshi | 2017-05-03 13:57 | エッセイ | Trackback | Comments(0)
d0174818_21562114.jpg
きらきら。

さて続いては、
昨年夏に東北歌会(福島市開催)でご一緒したナイス害さん企画の
「第2回 山形歌会」のお知らせです。

齋藤茂吉記念館で歌会!

いっや~、なんて贅沢。

日時 2017年5月28日(日) 13:00~16:00
場所 齋藤茂吉記念館 環翠亭



参加費 1280円÷参加者人数

題詠・自由詠各1首・計2首を5月21日までに齋藤芳生にお送りください。

題詠のお題は、「魚を詠み込んだ歌」です。

当日の司会はわたくし、齋藤芳生が担当いたします。

こちらもどうぞよろしく!!





# by chicayoshi | 2017-05-02 22:10 | ごあいさつ・お知らせ | Trackback | Comments(0)
d0174818_20284371.jpg
喩えるならば一輪の薔薇。

こちらはお知らせです。
「ロクロクの会」の仲間でもある沼尻つた子さんの第一歌集

『ウォータープルーフ』
の批評会が、今月5月20日(土)に東京都内にて開催されます。

詳細はこちら!

 日時 5月20日(土)13:00〜17:00   
 場所 ハロー貸会議室池袋東口 RoomA (東京都豊島区東池袋1-42-14 28山京ビル7階)
    JR山手線 池袋駅 東口 徒歩4分

パネリストは

高木佳子さん(潮音)
内山晶太さん(短歌人)
小原奈実さん(本郷短歌) 
三井修さん(塔・司会兼)

の皆さんです。豪華!

当日はロクロクのメンバーも集まります。
ぜひお越しください!



# by chicayoshi | 2017-05-02 20:39 | ごあいさつ・お知らせ | Trackback | Comments(0)

短歌結社「かりん」所属齋藤芳生のブログです。「みしゅみしゅ」はアラビア語で「あんず」のことです。主に齋藤芳生の掲載情報やエッセイなど。最近は写真も好きです。どうぞよろしく。


by chicayoshi